競技スポーツ選手(アスリート)の心機能障害に対して心電図(ECG)検査を活用することにより、
心臓突然死のリスクのある選手の検出を向上させ、救命につながることが、イタリアの研究で明らかになった。
米国では、心血管障害を検知できずに、3日に1人の割合で若い選手が死亡している。
こうした事例のほとんどで、選手は健康そうに見え、事前に心機能障害の臨床的徴候は認められなかった。
米国や欧州のいくつかの国では、診察(理学的検査)とともに、詳細な家族歴を含む「運動参加前の鑑定」
を受けることが奨励されている。
イタリアでは、競技スポーツに参加する際には、2種類のECG検査を受ける必要がある。
ECGは心臓の電気的活動を測定するもので、イタリアの場合は休息中と運動中の検査が必要となる。
ただし、検査にECGを活用することに関しては、費用対効果や、偽陽性(false positive)の結果が
多く出ることから、論議の対象となっている。
今回、フィレンツェ大学の研究者らは、完全な運動参加前心血管検査を受けた運動選手3万65人を
対象にECGを用いた研究を実施。休息時ECGでは348人(1.2%)に明白な異常が検出され、
運動時ECGでは、1,459人(4.9%)に異常が認められた。
運動時のみに異常が出た人の年齢は平均30.9歳で、正常者では24.9歳。
心機能障害のため運動を許可されなかった159人のうち、仮に家族歴と診察のみのデータを
活用していたならば、95%が見逃されていたことになり、また休息時ECGのみを用いていた場合には
79.2%が見逃されていた。
研究者らは、競技スポーツに参加する全参加者、特に中年以降の人に対して、ECGをスクリーニング
(検査)プログラムに追加すべきだとしている。
研究結果は、「British Medical Journal」オンライン版
に7月3日掲載された。(HealthDay News 7月3日)
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